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基準局のGNSS対応について

Q1

GNSS基準局を利用する(GNSS対応の移動局)にはどのような機器を用意すればよいか?

A

 移動局(作業船等)に搭載している測位機器がGNSS基準局に対応する機種であるかどうか確認が必要となります。補正データ受信機についてはGS3000番台にGNSS対応ソフト(GPS機構提供)をインストールする必要があります。GPS受信機はGNSS対応型を準備し、使用衛星オプションの追加、ファームウェアのバージョンアップを行います。
 GPS機構ではGNSS関連機器の情報を整理しており、情報提供いたします。移行実施にあたってはメーカーでの最終確認をお願いします。

FURUNO「RTK-GPS補正情報受信機GS-3005」




Q2

GNSS対応した移動局でGPS基準局からの補正情報は受信できるか?

A

 GNSS対応した移動局では、補正データ受信機(GS3000番台にGNSS対応ソフトをインストール)のスイッチの切り替えにより、GNSS基準局とGPS基準局の双方の受信が可能となります。
 GPS基準局が廃止され、GNSS基準局に移行した場合には、従来のGPS対応の移動局では対応できなくなるので注意が必要です。




Q3

GPS基準局・GNSS基準局の両方の補正情報に対応したGNSS受信機のメーカ名および型式を知りたい。

A

 GPS基準局からの補正情報は、RTCM2.1フォーマットで送信しています。またGNSS基準局からの補正情報はRTCM3.2フォーマットで送信しています。近年のGNSS受信機はRTCM2.3フォーマット以上の機種が販売され、GPS基準局からの補正情報RTCM2.1に対応しておらず、RTK-GPS測位ができない機種が見られます。当機構で現在把握しているRTCM2.1とRTCM3.X※1の両方の補正情報に対応してRTK測位のできるGNSS受信機の機種は以下の通りです。

  • ※1:GNSS基準局の補正情報はRTCM3.2で送信していますが、GNSS受信機のRTCMフォーマットはVer.3.0以上でRTK測位ができます。
  • ※GNSS受信機によっては、RTCM3.0でもGNSSに対応できなかった事例が報告されていますので、対応については事前にメーカー等にご確認ください。(詳細はGPS機構まで、令和5年4月)
(令和5年10月末)
メーカー名 GNSS受信機の機種(型式) 備  考
ニコントリンブル Trimble SPS852 FWのバージョンアップでRTCM2.1及び3.2に対応
Trimble SPS855 FWのバージョンアップでRTCM2.1及び3.2に対応
Trimble NetR9 FWのバージョンアップでRTCM2.1及び3.2に対応
Trimble R750  
Trimble Alloy  
Septentrio AsteRx-U  
AsteRx SB  
Hemisphere VS330 FWのダウングレードでRTCM2.1及び3.2に対応
Novatel OEM7シリーズ  
PwrPak7D  
アムテックス STARBOX OEM7シリーズ  
トプコン MR-2  
JAVAD DELTA-G3T  
※GNSS受信機の導入(購入)に際しては、詳細仕様をメーカに確認してください。



Q4

GNSS基準局の補正データ標準フォーマットRTCM3.2に対し、移動局のRTCMはどう設定すればよいか?

A

 RTK測位のためには基準局と移動局で補正データ標準フォーマットRTCMのメジャーバージョンを一致させることが必須です。GNSS基準局はRTCM3.2で送信するので、移動局はRTCM3.2が標準となりますが、RTCM3.0でも対応可能です。(なおGPS基準局はRTCM2.1で補正情報を送信しています。)

  • ※GNSS受信機によっては、RTCM3.0でもGNSSに対応できなかった事例が報告されていますので、対応については事前にメーカー等にご確認ください。(詳細はGPS機構まで、令和5年4月)




Q5

GPS機構のGNSS基準局はFW(ファームウエア)5.45とするが、移動局もFW5.45が必要か?

A

 GNSS基準局ではニコントリンブルのGNSS受信機を使用し、FW(ファームウエア)はバージョン5.45を採用します。測位性能の点から、移動局も基準局と同等のFWバージョンの使用が望まれます。ただし、GNSS受信機のFWバージョンはメーカーの共通規格ではないため、ニコントリンブルFWバージョン5.45に相当する各社のFWバージョンを使用することが望まれます。




Q6

補正データ受信機がGNSS対応となっているか確認できますか?

A

 補正データ受信機のGS3000番台(GS-3001、GS-3002、GS-3005)は購入時の状態ではGPSのみ対応します。これら機材にGNSS対応ソフトをインストールすることでGPS対応及びGNSS対応が可能となります(補正データ受信機のスイッチにより切替え)。GNSS対応ソフトをインストール済みの補正データ受信機は、GS-3001A、GS-3002A、GS-3005Aのように、型式の末尾に[A]を表示した銘板(シール)が貼り付けられています。
 (留意事項)型式等表示の銘板(シール)は補正データ受信機の上部に貼り付けられることが多いため、補正データ受信機の設置の状態によっては表示が見えない場合があります。
 お手持ちの補正データ受信機が、GNSS対応かどうか不明の場合は型式と製造番号を確認いただき、GPS機構(または古野電気)まで連絡ください。

GNSS対応ソフトインストール済みの補正データ受信機の表示例




Q7

GPS補正データを受信していたが、GNSS補正データを受信するよう受信機の設定変更する方法はどのようにしたらよいか?

A

 補正データ受信機はGS3000番台にGNSS対応ソフトをインストールしていることが必須条件です。GNSS対応ソフトのインストール済み受信機には、名板の型式の後に“A”が付記しています。(例GS-3001A、GS-3002A等)ここでは補正データ受信機GS-3001Aを例(GS3000番台であれば同じです)にGNSS補正データの受信機設定手順を示します。

  1. 電源スイッチを“切”にする。電源が入ったまま以下の操作は行わないでください。
  2. 前面パネル右下にあるブランクパネルを取り外します。パネルを外すと、“RST”、“Boot⇔RUN”、“Option”の各ツマミがあります。
  3. 右端オレンジ色の“Option”ツマミを回してGNSS補正データ受信モード(オレンジのダイヤルツマミの矢印を“8”に合わせます)に設定します。GPS補正データ受信モードの場合はダイヤルツマミの矢印は“0”に合わせます。
  4. ブランクパネルを取り付け元通りにします。
  5. 補正データを取得する基準局を選択(例:青海GNSS基準局は10ch、横浜GNSS基準局は8ch、種子島GNSS基準局は5ch等)します。
  6. 以上でGNSS補正データの受信準備は終了です。GNSS補正データの受信が正常に行われているか否かの確認のため、電源スイッチを“入”にします。
  7. 補正データ受信機の前面パネルのLEDランプ点灯状況を確認します。
    ⑦-1 特2、特3のLEDランプは緑色に点灯しているか。(特2が消灯している場合はスクランブル解除されていません。GPS機構に基準局利用申請を行ってください)
    ⑦-2 受信1、受信2の強度、対雑音、データのLEDランプは緑色に点灯しているか。
    強度、対雑音のLEDランプが赤色や橙色の場合でも、データのLEDランプが緑色で1秒ごとに点滅していれば補正データの受信が正常に行われていることを示しています。

補正情報受信機の名板

ブランクパネルの取外し

補正データ受信モードの選択

データ受信機のLED点灯状況

  • ※メーカ(古野電気)から発行されている取扱説明書にも上記と同様の内容が記載されています。GNSS対応ソフトをインストールした場合には、新たに取扱説明書をメーカから受領ください。



Q8

GNSS基準局・GNSS移動局への移行でディファレンシャルモードは利用できるか?

A

 GPS基準局では、RTKモードとディファレンシャルモードが利用可能ですが、GNSS基準局では、RTKモードだけが利用可能で、ディファレンシャルモードは利用できません。このためGNSS基準局設置後も、ディファレンシャルモードのユーザーがいる一部のGPS基準局は当面存続します。
 一方で、補正データ受信機(GS3000番台)にGNSS対応ソフトをインストールして、GNSS対応の移動局に移行した場合ですが、GNSS基準局に対応するだけでなく、スイッチの切り換えにより従来のGPS基準局にも対応可能です。このためGNSS対応の移動局では、GPS基準局によるディファレンシャルモードの利用が可能となります。




Q9

特定小電力無線による自社基準局を使用する場合、移動局のGNSS受信機でRTK測位は可能か?

A

(1)自社基準局がGPS対応の場合
 自社GPS基準局から特定小電力無線で補正情報を送信する場合、特定小電力無線の通信容量(4800bps)の制約から、RTCM2.1(補正データ標準フォーマット)であれば2秒間隔で送信するか、CMR(Trimble社フォーマット) 等の圧縮率の高いもので送信する必要があります。なお最近のGNSS受信機では、RTCM2.1等に対応しない場合があるので注意が必要です。

(2)自社基準局がGNSS対応の場合
 自社GNSS基準局から特定小電力無線で補正情報(RTCM3.2等)を送信する場合、特定小電力無線の通信容量(4800bps)の制約から、GPS+QZSS+GLONASS等のGNSS補正情報に対して容量不足となります。使用する衛星をGPSに絞るか、GPS+GLONASSで仰角マスクにより衛星数を絞るなどの対応が必要です。

 上記のいずれの場合も、移動局のGNSS受信機は、それぞれRTCM2.1、RTCM3.2等に応じて設定を行います(GNSS受信機設定の詳細はメーカー等に確認ください)。

【参考】
※基準局から移動局へ補正情報を送信するために使用される補正データ標準フォーマットにはRTCMやCMRがあります。
 RTCMが補正データ標準フォーマットであるのに対して、CMRはTrimble独自のフォーマットです。




Q10 

GNSS基準局への移行対応のため機器を買い替えたいがどのような支援(助成)があるのか?

A

 令和3年6月に『GNSS基準局移行助成制度』を創設し、GPS機構正会員を対象にGNSS対応補正データ受信機、GNSS受信機、その他GNSS対応に必要な費用に対して助成します。助成期間は令和3年度から令和7年度を予定しています。
 助成の内容や申請方法はGPS機構ホームページに記載しており、詳しくはGPS機構までお問合せください。




Q11 

基準局補正データ受信機のGNSSとGPSの受信モード切替手順を教えてほしい。

A

 補正データ受信機はGS3000番台にGNSS対応ソフトをインストールしていることが必須条件です。GNSS対応ソフトのインストール済み受信機には、名板の型式の後に“A”が付記しています。(例GS-3001A、GS-3005A等)ここでは補正データ受信機GS-3001Aを例(GS3000番台であれば同じです)にGPS/GNSS受信モード選択手順を示します。

  1. 電源スイッチを“切”にする。電源が入ったまま以下の操作は行わないでください。
  2. 前面パネル右下にあるブランクパネルを取り外します。ブランクパネルを取り付けている2本のビスを外し、ブランクパネルを取り外します。
    パネルを外すと、“RST”、“Boot⇔RUN”、“Option”の各ツマミがあります。
  3. 右端オレンジ色の“Option”ツマミを回してGPS/GNSS受信モードの選択を行います。
    ③-1 GPSモードはオレンジ色の“Option”ツマミの矢印を“0”に合わせます。
    ③-2 GNSSモードはオレンジ色の“Option”ツマミの矢印を“8”に合わせます。
  4. ブランクパネルを取り付け元通りにします。
    以上でGPS/GNSS受信モードの選択は終了です。
  5. 補正データの受信が正常に行われているか否かの確認のため、補正データを取得する基準局(青海GPS局は3ch、青海GNSS局は10chなど)を選択したのち、電源スイッチを“入”にします。
  6. 補正データ受信機の前面パネルのLEDランプ点灯状況を確認します。
    ⑥-1 GPS受信モード
     ・受信1、受信2の強度及び対雑音は緑色のLEDランプが点灯
     ・受信1、受信2のデータLEDランプが緑色で、1秒毎に点滅
     ・特2のLEDランプは緑色に点灯(特1、特3は消灯)
    ⑥-2 GNSS受信モード
     ・受信1、受信2の強度及び対雑音は緑色のLEDランプが点灯
     ・受信1、受信2のデータLEDランプが緑色で、1秒毎に点滅
     ・特2、特3のLEDランプは緑色に点灯(特1は消灯)

    ※強度及び対雑音のLEDランプが赤色、橙色でもデータLEDランプが緑色で1秒毎に点滅してれば、補正データは正常に受信しています。

  7. その他
    補正データ受信が正常に行われているにもかかわらず、施工管理システム(船位誘導システムなど)が正常に動作しない場合には、施工管理システムのGPS/GNSS切替、データのRTCMバージョンを確認ください。

補正情報受信機の名板

ブランクパネルの取外し

補正データ受信モードの選択

データ受信機のLED点灯状況
GPS受信モード

GNSS受信モード